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しろばなのあさがお
白花の朝顔
泉 鏡花
「週刊朝日 第二十一ノ十六号(春季特別號)」1932(昭和7)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,880 字 · 62 页
京都へ着いた時迎いに来てくれました、路之助の番頭と一所だった年増の芸妓が、追って酒宴の時、意見をしてくれましたよ。あれは見っともない、先陣の源太はんやないけど、腹帯が弛んだように見える……といってね。)
(ほんに、私も、東の方贔屓どす……しっかりとあんじょうに……)
――細い指であやつッて、あ、着換を畳もう、という、待遇振。ですが、何にもない。着のみ、着のままで、しゃんと結ばると袋はぺしゃんこ。そいつを袖で抱いて、さ、晩のご飯を近所のちもとへ、と立たれたのには、懐中もぺしゃんこです。
これも路之助の心づけで、ちゃんと席を取って支度が出来ていて、さしむかいで、酒になった処へ、芝居から使の番頭、姓氏あり。津山彦兵衛とちょっとお覚え下さい。
(――すぐ、あとで、本郷座の前茶屋へ顔を出しますから――)
花柳界の総見で、楽屋は混雑の最中、おいでを願ってはかえって失礼。お送りをいたすはずですが、ちょうど舞台になりますから。……縞の羽織、前垂掛だが、折目正しい口上で、土産に京人形の綺麗な島田と、木菟の茶羽の練もの……大贔屓の鳥で望んだのですが、この時は少々擽ったかった。