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しろへびのし
白蛇の死
海野 十三
「新青年」博文館、1929(昭和4)年6月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,881 字 · 24 页
その押入れの中央に仏壇の様に設置してある大冷蔵庫。その扉を開けて見せられた時、さすがの主任も「アッ」と顔を背けずにはいられなかった。中には若い女の太股のあたりから下の立ち姿、――草葡萄のくすんだ藍地に太い黒の格子が入ったそれは非常に地味な着物であったが、膝頭のあたりから軽く自然に裾をさばいて、これは又眼も醒めるばかり真紅の緋縮緬を文字通り蹴出したあたりに、白い蝋の様なふくら脛がチラリと覗いている。何う見ても若い女の腰から下の立ち姿であった。言うまでも無くこれはお由の両脚で、同時に其処から両腕も発見された。これ等は時を移さず警察へ押収されたが、親分加藤吉蔵は既にお由殺しの有力な嫌疑者として、主任と入れ違いに拘引されていたのであった。
やがて夜は明け放れた。世間は綻び初めた花の噂に浮き立っていたが、警察署内の取調べ室では、極度に緊張しきった吉蔵の訊問が続行されていた。然し彼は何処までも犯人は自分で無いと主張するのである。
「あっしはあの晩、玉の井へ行ったって事を申し上げましたが、実はお由と喜多公のことが気になって、寺島の喜多公の家へ様子を見に行ったんです。