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しろへびのし

白蛇の死

海野 十三

「新青年」博文館、1929(昭和4)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,881 字 · 24 页

青空文庫

仕事は血が飛ばねえように、あの小川の中でやりました。――あっしのやったのは只これだけで、お由を殺した犯人についちゃ、あっしだって判りゃとっくに殺しちまいまさあ……」

然し主任に取っては、吉蔵が屍体を損壊したのも一時脱れの口実を作る手段と思えぬことも無かった。

この問題のお由の両腕と両脚は、大学の法医学教室に廻されて、熱心に犯行事実を研究されていた。その結果、吉蔵の申し立てた切断方法が肯定された以外に、不思議な傷口が別に四ヶ所発見されたのであった。第一は左手の拇指と人差指の尖端二ヶ所に、喰いいったような探い傷があること、同様な傷が又両足の裏にもあるのであったが、極く小さい上に血のにじみ出た形跡もないので、或いはお由の死後吉蔵がつけたものかも知れぬ、とも考えられていた。ところが、丁度其処へ遊びに来た電気工学のW助教授が一目これを見るや、「君、これは高圧電気に感電した時受けた傷だよ」と助言した。

警察署では主任が吉蔵の調べに手を焼いて、一先ず訊問を打切り、屍体遺棄のかどにより、変電所の土岐健助に拘引状を発しようとしていた。その申請書を書き始めた時、パッと室内の電灯が消えた。