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しろへびのし

白蛇の死

海野 十三

「新青年」博文館、1929(昭和4)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,881 字 · 24 页

青空文庫

残念な事をしたな」

受話器を離した主任は、誰にとも無く呟いて崩れるように椅子に腰を下した。

猶、その後の報告によると、応急修理に高い所へ登った一技手は、奇怪な配線のあるのを発見した。それは故意か偶然か、変電所の壁を通って向いの家の廂へ渡り、其の端が錻力で作った樋に触れていたのである。もしこの配線に高圧電気が供給されれば、言うまでもなく樋に触れた人間は即死しなければならない。そしてお由は丁度その樋の傍に仆れていたのであった。

では、お由殺しの犯人は土岐健助か、それとも喜多公か?

二人の過去を洗って見ると、土岐の方は変電所から開閉所へとコツコツ転任されて歩いた外、これと言って変化の無い単調な過去しか持っていないに反して、喜多公の方はいろいろな電気工生活をやって来ている。その上、お由がまだ工場にいたころ、そこの試験係を勤めていた事実もあって、当時仲間の一人が試験中に感電死した時、可溶片が早く切れた為に只指先と足の裏に小さな傷を受けたまま美しく死んだ事件を見たこともあるそうである。

で、犯人が喜多公とすれば、親分とお由を張り合った結果、お由が思う様にならないので、あの夜自分が非番であるにも係わらず、忍んで行って、犯行の後、巧みに千往遊廓へ現われたとも考えられた。