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はっけっきゅう
白血球
豊島 与志雄
「良婦の友」1921(大正10)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,538 字 · 24 页
」と晋作は尋ねた。
「ええ、別に異状もないようですから。」
「そんな板が何かになるのですか。」
「さあ……。」と刑事は半信半疑らしかった。
それでも彼は、お茶を一杯飲むと、新聞紙に包んだ板を大事そうに抱えて、慌しく帰っていった。
「何かがお分りでしたら、私共へも一寸お知らせして頂けませんでしょうか。」と晋作は頼んで見た。
「はっきりした方が気持が安まっていいですから。」
「そうですね。」そして刑事は一寸考え込んだが、それから元気な声で答えた。「ええ、何れともお知らせしましょう。」
女中部室の押入は、中井刑事の臨検を受けて以来、その神秘的な魅力を失ったかのようだった。室の陰気さは前と少しも変りはなかったが、押入の張板が一枚、あり合せの板切れで、刑事の手によって置き換えられたことを思うと、今迄の何とも云えぬ不気味さが、朝の光りのように白々しくなって、何処かへ消え失せてしまった。
「やはり何でもなかったんじゃないか。」
「そうね、気のせいだったのかも知れませんわね。」
晋作と秋子とは押入の前に立って、そんな風に語り合った。
けれど……その下からまた、新らしい懸念が湧いて来た。