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しらがこぞう
白髪小僧
杉山 萠円
「白髪小僧」誠文堂、1922(大正11)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,770 字 · 194 页
美紅姫は青眼先生が来たと云う声を聞くや否や、もしやあの夢の中の怖いお爺さんではあるまいかと思ったので御座います。そうしてもしそうなれば、今の自分の身の上はどこからが夢でどこからが本当だかいよいよ解からなくなる。いよいよ不思議に恐ろしくなる。何にしても青眼先生という人が、あのお爺様かどうか見て見なければわからないと思いました。けれどももし真正面に顔を合わせて、又悪魔と間違えられでもしては大変と思いましたから、そっと扉に隙間を作ってそこからそっと眼ばかり出して様子を見ておりました。
その前を通る青眼先生の顔を一眼見ると、美紅姫は思わずアッと声を立てるところでした。その肩まで垂れた青い髪毛、その青くて鋭い眼付、青い髯、黒い顔色、そうしてその黄色い着物、皆あの夢の中のお爺さんにそっくりそのままで、歩きぶりまで違ったところはありません。美紅姫は恐ろしさの余り身体中の血が凍ったように思いました。
そうして慌てて扉を閉じて、内側から鍵をしっかりとかけて、ほっと一息安心すると、そのまま気が遠くなって、床の上に倒れてしまいました。けれども家中は今、上を下へと混雑しているところでしたから、気の付く者は一人もありませんでした。