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しらがこぞう

白髪小僧

杉山 萠円

「白髪小僧」誠文堂、1922(大正11)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,770 字 · 194 页

青空文庫

眼の前の鸚鵡の事も忘れてしまって、直ぐに自分の室に帰って帽子を頭に載せるが早いか、たった一人で家を出て只ある人通りの多い橋の袂へ駈けて来た。

そこに暫くの間立って待っていると、間もなくよい都合に向うから、お誂え通りの奇妙な風体をした白髪頭の人が遣って来たから、姫は天にも昇らんばかりに喜んで、いきなりその人の前に駈け寄って袖に縋りながら十円の金貨を出して、身の上話をしてくれと頼んだ。その人は頭に高い帽子を三段も重ねて耳の処まで冠っていた。そして身には赤い襯衣を着て、青い腰巻の下から出た毛だらけの素足に半長の古靴を穿いていたが、赤い顔に白髪髯を茫々と生やして酒嗅い呼吸を吐きながら、とろんこ眼で姫の顔を呆れたように見つめていた。けれども姫から大略の仔細を聞くと、大きな口を開いて笑い出した――

「アハ……。そうか。ではお前はここまでお話しを買いに来たのか。成る程、それは巧い思い付きだ。そうして第一番に俺を捕まえたのは感心だ。

世界中で俺位面白い愉快な身の上を持っているものは、他に唯の一人も無いのだからな。では今から話すからよく聞きなよ。俺は小さい時から酒が好きで、どうしても止められなかったんだ。