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しらがこぞう
白髪小僧
杉山 萠円
「白髪小僧」誠文堂、1922(大正11)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,770 字 · 194 页
他人の空似にしてはあまりよく似過ぎていると、呆れて穴の明く程その横顔を見ておりました。すると、この時その少女が、六人の中からズカズカと前に進み出て、王様の前に恐れ気もなく近寄りました。そうして帽子を取って最敬礼をしますと、やがて銀の鈴を振るような声で挨拶を致しました。
「王様。妾はこの国の南の海の底にある海の国の女王で御座います。この度の王様の御布告を家来の蟹奴から承りまして、御恥かしながら海の底から、はるばると御目見得に参ったもので御座います。妾はこれまで参りますのに、誰も従いて来る者が御座いませぬから、旅を致すのに都合のよいように、こんな男子の姿を致して参りました。こんな勝手な風采を致しまして、陸の大王様に御目見得に参りました失礼の程は、何卒御許し下さいまし。そうして御目見得の印に持って参りました、この宝石の少しばかりを御受け収め下されましたならば、妾はもとより海の底の国人も皆、王様の広い御心に対して、はるかに御礼を申し上げる事で御座いましょう」
と云いながら、懐中から海の藻の一掴みを出して高く捧げましたが、その中から大きな紫色の金剛石の光りが虹のように輝き出て、さしもに広い大広間中に照り渡りました。