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しらがこぞう
白髪小僧
杉山 萠円
「白髪小僧」誠文堂、1922(大正11)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,770 字 · 194 页
貴女のお家に災を致しましたのは……お兄様やお姉様を殺しましたのは、今氷になっているあの美留藻の魂が、貴女に乗り移って為た事……」
と申しましたが、その言葉のまだ終るか終らぬかに、雷が落ちたような声を立ててこの室に飛び込んで来て、二人を左右に突き飛ばした者がありました。それは紅木大臣でした。それと見ると女王はよろめき倒れた身を起して――
「あれ。お父様」
と一声高く叫びながら駈け寄ろうとしましたが、紅木大臣の見幕があまり恐ろしいので、思わずハッと踏み止まりました。そうしてワナワナ震えながら――
「オ……お父様……お父……様……」
と云う中に次第にあと退りをして、一方の壁に倚りかかって身体を支えました。青眼先生も紅木大臣の見幕に驚いて、床の上に尻餅を突いたまま、呆気に取られて大臣の顔を見詰めておりました。
紅木大臣はその間につかつかと寝台に近寄って、白布を取り除けました。その下には髪毛から首のあたり――胸から爪先へかけて、一面に紅玉に包まれて、臘のように血の気を失った濃紅姫の死骸が仰向けに横たわっております。
それをじっと見ていた紅木大臣の髪毛は、見る見る中に皆逆さに立ちました。