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しらがこぞう

白髪小僧

杉山 萠円

「白髪小僧」誠文堂、1922(大正11)年11月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,770 字 · 194 页

青空文庫

鏡は最早疾くの昔に受け取りの儀式を済まして、居間の壁に取り付けてあるぞ。それとも他に用事でもあるのか。早く云え」

と畳みかけて尋ねました。

青眼は静に顔を挙げて王の顔を見ましたが、忽ちハラハラと涙を流して申しました――

「嗚呼。王様。御察しの通り、私が参りましたのはその鏡の事に就てで御座います。承れば王様は、私がお止め申し上げるのも御聴き入れ遊ばさず、あの水底の白銀の鏡を御取り寄せ遊ばして、御居間に御据え遊ばしたとの事。まあ、何という恐ろしい事を遊ばすので御座いましょう。

この間申し上げた、この国の古い掟を最早お忘れ遊ばしましたか。

『人の声を盗む者。人の姿を盗む者。人の生き血を盗む者。この三ツは悪魔である。見当り次第に打ち壊せ。打ち殺せ』

只今までこの国に、人の声を盗む鸚鵡という鳥が一匹も居ず、人の姿を盗む鏡というものが一ツも無く、人の生血を盗む蛇というものが一ツも無いのはこの掟があるために人々が……」

「八釜しい。黙れ」

と王は烈しく叱り付けました。

「そのような事は貴様から聞かずとも、疾くに俺は知っている。俺は今までのように、貴様に欺されてばかりはおらぬぞ。