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ひゃくあしちがい
百足ちがい
山本 周五郎
「キング」大日本雄辯會講談社、1950(昭和25)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,491 字 · 56 页
……喜兵衛は唸り、感に堪え、そうして又四郎の前に頭を下げて云った。
「おれには意趣もなにもない、そんな記憶もない、だがたぶんおまえの鼻を捻ったことは本当だろう、勘弁して呉れ、おれはお先走りの軽薄者だった、これからは気をつける、そしておまえの友として恥ずかしくない人間になってみせる」
双木文造や石谷堅之助とも、ほぼ同様なゆくたてがあった。そうして赤井をいれてこの三人と、親友の盟をむすんだのである。次に千本松の件であるが、又四郎が十九歳になったとき、馬廻りの青年たちと、かれら扈従組とのあいだに紛争が起こり、それが景気よくこじれて、ついに両者の団体的決闘ということになった。
「明日の朝五時、亀島の千本松へ集まれ」
又四郎はこういう伝達を受けた。理由も経過も概略わかっていたが、彼はとりあえず熟慮にとりかかった。当時すでに父は亡くなり、母一人子一人であったが、もちろんそのためにどうこうというのではない、雪海和尚の教訓を実践したわけで、しかし事が事であるから他のばあいほど時間にゆとりがなく、三月めになって断行の決心をした。そこで入念に身支度をしたうえ赤井喜兵衛のところへでかけてゆくと、喜兵衛はよろこんで、