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ひゃくあしちがい

百足ちがい

山本 周五郎

「キング」大日本雄辯會講談社、1950(昭和25)年8月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 28,491 字 · 56 页

青空文庫

そこで残りの四人に対してはいちおう事前探査をやった。彼はこのことは我ながら賢明であると思った、というのは乙原丙午であるが、御厩奉行の二男である丙午は、暴食のあまり胃が裂けて、半年ばかり病んで死んだという。また大村田伝内は賭け事のために公金を費消し、足軽におとされて、酔って旧同僚を訊ねては、

――おい賭けよう、明日は雨か天気か。

などと云い、賭を拒絶されると泣いて貧窮を訴える。おいおいと泣いて、そうして妻が急病だとか、子供が飢えているとか、いろいろでまかせなことを述べたうえ、必ずなにがしかせしめて帰る、ということであった。

「――これもかなり危ない、この二人も抹殺としよう」

又四郎は丙午と伝内の名を手帖から消した。

第四に苅賀由平二である、これは人を教誨するだけあって、いまだに健在であり、鉄炮足軽の組頭から支配にぬかれていた。また第五の唐川運蔵はたいそう出世をし、八百石の普請奉行で、美人と評判の高い妻を迎え、内福で平和な生活を楽しんでいる。

「――これなら用心することはあるまい」

そして又四郎は苅賀を訪問した。

苅賀の家は組屋敷の中にあり、支配役のことで、厩や長屋や三棟の土蔵などを擁して、なかなか堂々たる構えであった。