轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
とうなん
盗難
江戸川 乱歩
「写真報知」報知新聞社、1925(大正14)年5月15日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,320 字 · 25 页
それで、どこかからにせ札を仕入れて来て――支那人なんかに頼むと精巧なものが手に入るといいますから――私や信者の前を取繕っていたのかも知れません。そういえば色々思いあたる節もあるのです。よく今まで、信者の方から警察へ漏れなかったものですよ。私は泥坊から教えられるまで、そこへ気がつかなかった自分の愚さが腹立たしく、その日は家に帰っても終日不愉快でした。
それからというもの、なんだか変な具合になって終いましてね。まさか古い知り合の主任の悪事を公にする訳にも行きませんから、黙っていましたけれど、何となく居心地がよくないのです。今まではただ身持が悪いという位のことでしたが、こんなことがわかって見ると、もう一日も教会に居る気がしないのです。その後間もなく、外に仕事が見つかったものですから、すぐ暇をとって出て終いました。泥坊の下働きはいやですからね。私が教会を離れたのはこういう訳からですよ。
ところがね。お話しはまだあるのです。作り話しみたいだというのはここのことなんです。例のにせ札だという三百円はね、思い出の為に、それからずっと財布の底にしまっていたのですが、ある時私の女房が――こちらへ来てからもらったのです――その中の一枚をにせ札と知らずに月末の支払いに使ったのです。