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しんじゅとうのひみつ

真珠塔の秘密

甲賀 三郎

「新趣味」1923(大正12)年8月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,661 字 · 16 页

青空文庫

この上貴君方に訴えられれば申分ありません。天罰です」

「イヤ、私は貴君を告発しなければならない位置に居るものではありません。御話しに偽がないと云う条件で、別に荒立てる必要はありません」と友が云った。

「天地神明に誓って偽でない事を断言します」

保命館を出て駿河台下の方へ来かかると折柄、そこの大時計は十時を打ち出した。折角手繰った糸が又この異様な新な買手の為めにプッつりと切り離たれたのは、友にとって打撃に相違なかったが、左程落胆している模様も見えなかった。ここで私達は別れたのである。

翌日午後橋本から電話で帰りに寄って呉れと云うので、私は勤先からすぐ彼を訪ねた。

「やあよく来て呉れたね。実は六時に佐瀬、そら例の商会の技師の、あの人が来る事になっているが、僕は一寸出掛けねばならないので、君一つ相手をして、成可く七時頃迄待たせて居いて貰いたいのだがね」

私が引受けると、彼は直ぐ出掛けて行った。六時に佐瀬がやって来た。私は友が急用で出掛けた事と是非待って居て貰いたい事を告げると、彼は迷惑そうに腰を下した。

「橋本さんは少しは当りがつきましたでしょうか」

「さあ」私は彼の問にどの程度迄答えてよいか分らなかったので、「多少見当はついたようです」