轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

やのしのとい

矢押の樋

山本 周五郎

「キング」大日本雄辯會講談社、1941(昭和16)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,468 字 · 29 页

青空文庫

七

という存在の全部を無条件で受容れていた、彼等にとって、その「城」は既に神聖そのものだったのである。

「御意見はよく分りました、然しお待ち下さい」

梶之助は些かも確信の動かぬ調子で、非難の声を遮りながら語を継いだ。

七

「仰せの通り城縄張りは重いものです、それは慥に間違いありません。けれど農民たちはいま一滴の水でも欲しいのです、そして城にはそれが満々とあるのです。……彼等の干割れた田と、この濠にある満々たる水をお考え下さい、この二つだけを先ずお考え下さい…………若し農を以て国の基とするのが事実なら」梶之助は押被せるように続けた、「彼等の苦しみをよそにして、徒に濠の水を守っている時ではありません。今こそ是を切って、彼等と苦しみを共にすべきです。彼等と苦しみを共にするということを、事実を以て示すべきです。濠の水がどれ程の役立ちをするかと仰せられた、如何にもそれはやってみなければ分りません。然し差当って北見の田を救うには充分だし、旨く引けばそれ以上に使える事も慥めてあります。御家老、……樋掛けをお許し下さい、是をお許し下されば、拙者が必ず彼等を取鎮めてみせます」