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たんぺんしょうせつはなぜふしんか
短篇小説は何故不振か
佐藤 春夫
文学俗論のうち
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,960 字 · 4 页
現代(戦後)の読者は、御免蒙ってあけすけに云ってしまえば文学的には全く無教養で(俺は教養があると自信する方は例外としてよろしい)詩情などというへんな時代おくれのシロモノとは風馬牛(という言葉もご存じあるまい。さらば字引を引いてごらん召され)であろう。そんなものよりは面白い世間ばなしの方がわかりがよくて思い当たるところも多い。読者の好みが短篇小説をすたれさせたのではあるまいか。
それとも書く方だろうか。人生の見方に一くせ(個性)あり、着想に一工夫を要し、表現にもまた一考を要し(実は真の作者にはそれがみな楽しみなのだが)それでいて出来上がりは短いものになってしまう間尺に合わない仕事より、読者にもわかりよく喜ばれ、濶達にのびのびと筆をおろしてまとまりやすく、しこたま頂戴できる世間話小説の方が職業として割がいいというわけあいではあるまいか。(俺は違うという作家は別として)
この読者にしてこの作者あり。短篇小説の不振も故なしとせずか、この線に進んで行くと短篇だけではなく今に現代文学は滅亡する心配もあるというわけ。