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さとう・けんぼうしょう
砂糖・健忘症
宮本 百合子
「婦人民主新聞」1948(昭和23)年1月12日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,013 字 · 5 页
科学上の真実は、社会の実際にそれが変化してあらわれるからこそ、動かしがたい真実として存在しなければならない。砂糖の必要量がとれない条件があるからこそ、適量の必要が科学的に主張されなければならない。日本の主婦の科学精神がめざまされなければならないとしきりに云われる。科学の精神とは、決して食品のカロリー分析の能力ばかりをさしていない。砂糖を食品として科学的に理解するとともに、その砂糖が今日の社会で、どういうありかたをして来ているか、ということについて発見し、それをほんとに民族生活の幸福のために、合理的に調整してゆく実力も、明日の女性の人間叡智の内容となって行かなければならないと思う。
わたしの身辺に、子供を二人ぐらいもって戦争未亡人になっている婦人が、なんとどっさりあるだろう。先ずわたしの弟妹からはじまって。――平和になってから三年たって、これらの婦人と子供たちの生存の問題は、それぞれに深刻である。一年二年をどうやら経て来て三年めに、のっぴきならず、さし迫った経済困難、したがって母子の全存在の不安がある。昨今人々の耳目をゆるがしている牛込の産婆の嬰児殺しも、この未解決な社会問題にからんでいる。