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しゃかいとにんげんのせいちょう
社会と人間の成長
宮本 百合子
講演「ソヴェト文化の夕」の講演速記、1947(昭和22)年6月29日
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 10,495 字 · 21 页
ここに、人民の民主主義社会の意味があります。若し日本の労働組合の力が強くなり、社会の勤労が直接働く人のためのものとなれば、みんなが組合に属して働いている人であるから、社会全体としてそれを保護するということになれば、個人個人が、自分の人間らしさとひきかえに、冷血になったり、利己的になったりしないでやってゆける条件が出来ます。そういう社会なら、すべての人は勤労することが出来、すべての人は教育をうけることが出来るという日本の憲法も、現実のものとなります。ですから、私たちは自分たちの人間らしい心のためにも、今日の社会を出来るだけそういう方向にもって行くことが、非常に大事であると思うのです。
人間の本能という問題について、田辺元さんその他の人々の間には、こういう考えがあります。人間の本能は不変であるから、社会制度が、たとえどんなに理想的に変ったって、人間が人間である以上は変らないというのです。生存競争の慾望、所有慾、そういうものがある以上、社会制度が変っても人間は変らないとおっしゃる。ここのところを、私たちは本当に考えてみたいと思うのです。本当に人間に本能があるからには、どうしようもなくて、変れないものでしょうか。