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しゃかいとにんげんのせいちょう

社会と人間の成長

宮本 百合子

講演「ソヴェト文化の夕」の講演速記、1947(昭和22)年6月29日

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 10,495 字 · 21 页

青空文庫

こういう選挙演説がアッピールするのは、みんなの要求がそこにあるということの明瞭なしるしです。風呂について、わたしたちの感情は所有慾から利用の慾望に発展して来ているのです。この講堂を、ここに来ていられる方の誰が所有したいと思っているでしょう。いい病院がほしいということ、いい図書館がほしい、いい託児所がほしい、というわたしたちの希望は、それを自分の所有として、私有の財産として登記したい心もちとはちがいます。社会のもの、みんなのものとして、そういうものがあればよい。現在金もちだけの便利におかれている社会条件を、そういう便利のものにしたい、と思っているわけです。

ですから、さっきの親子の関係でもわかるように、家庭というものが本当に社会的保障の上につくられるものとなり、銘々が社会人として独立した社会的な保護をうけ、そういう人たちが愛情によって集ったグループが家庭ならば、今までのわれわれの家庭においてのお互の負担、感情的な辛いいきさつ、財産争いのゴタゴタ、そういうものはよほど変化するのです。人間の銘々が幸福に生きようとする本能はある程度社会的に充たされて行きます。