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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页

青空文庫

たのだそうだ。住職の今更ながらの史跡擁護づらが滑稽だというのである。私も大方そんなことではないかと思っていたのである。もしこれが本当だとすると、「日本国民思想に影響を及ぼすことの大きい」点も「社会風教上遺憾」な点も、一部分はこの住職の責任にもなろうというものである。住職は人ごとのように史跡蹂躙呼ばわりをするのをチト気を付けなければなるまい。

だがそれで何も、教授の罪が軽くなるわけでも何でもない。一体何だって、こうした発掘事件をまで、思想問題という形で騒ぎ立てる必要があるのか、という点が問題なのだ。

歴史家が史跡擁護を唱えるのは多分、歴史研究の資料を保存するためだろうと思う。処で古墳などを発掘するということが、とりも直さず歴史研究の資料を見出す絶好の機会ではないかと、そう素人の私は想像している。そうすると墳墓発掘ということは場合によっては歴史研究なのだから、歴史家は強ち墳墓発掘を一概に非難出来ない義理合いにあるわけだ。この墳墓発掘が古跡荒しになるからというだけの理由ならば、別に之を思想問題呼ばわりする必要はないのだし、単に窃盗ならば問題は警官が宗教罪に一任すれば解決する。