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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页

青空文庫

ヒトラーは神聖な純正ドイツ人が外国種の人間と結婚することを禁じているが、同じファッショと云っても、ドイツのは敗戦の結果凡てを失った揚句のものだが、わが国のは之とは正反対に、満州帝国を建設し××××処のファッシズムである。だから日本では外国種の人間と結婚するということは何より尊重すべき事柄なのだ。日鮮融和の実もそうやって挙ったものだし、日満融和も皆この手を併用すべきだろう。植民政策にも色々あるが外国の土地で外国人との間の雑種を創り出す程完全な言葉通りの植民はない筈である。この大きな理想の下では人種的偏見位い邪魔なものはないのだが、黒田嬢の例の決意はこの点で極めて植民政策的コスモポリタニズムの意義のあるものなのだ。

無論黒田嬢は、植民政策の御手本や何かではなくて、レッキとした独立国エチオピア帝国に嫁して行くのであるが、その海外発展的な進取の気象は、日本人の御手本として何より教訓に富んでおり、失礼ながら天草や何かの女達とは違って、立派に日本女の模範とするに足るものだろう。満州帝国の建設に際しては、××××××××××××××××××××××にしなければならなかったが、黒田嬢の御輿入れの場合には、幸にしてそうした×××××××××、ただただ歓声と和楽の裡に、海外発展の事が幾久しくめでたく取り行われるのである。