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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页

青空文庫

ましてそれで以てリベラリズムが台頭したなどと云うなら夫は気が早やすぎる。

一体なぜ例の治安維持法などが「改正」されようとしているのか。治安維持法を名刀のように愛撫しているわが国の識者は、外でもない専ら、共産主義者がわが国の国体を変革しやしないかと云って心配しているのである。リベラリズムが台頭して来たと云って喜んでいる、わが国の「リベラリスト」達も、この点では全く同じことを心配しているに外ならないだろう。で、荒木陸相が流感に罹ったことによって、わが国のファッシズムは愈々円滑な軌道の上に乗り始めた。世間では、円滑なものだからウッカリ之をリベラリズムと呼んでいるのである。

(一九三四・四)

スポーツマンシップとマネージャーシップ

一、スポーツマンシップとマネージャーシップ

デビスカップ戦に出場のため欧州遠征の途上にあった世界的庭球選手、早稲田大学商科学生、佐藤次郎氏がマラッカ海峡を航行中の箱根丸から突然行方不明となったが、自室から遺書が発見されたので覚悟の投身自殺を遂げたものだということが判った。

遺書には理由らしいものは全く認めてなく単に僚友選手あての謝意と激励とが書き残されただけで、まだしかとした原因は判らないらしいが、何でも前日シンガポールに滞泊中一旦下船、帰国の決心をしたそうで、船長は極力それを勧め