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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页

青空文庫

こうした期待や信任を宣布するためにこそこの式は行われたのだ。

併し念には念を入れなければならない。小学校の先生達に対する国民精神教育の戦士としての絶対的な期待や信任はさることながら何しろ二十五万に余る先生達のことだから、賄賂の方はまあいいとして(之は「職分を楽しむ」ことに決議したから大抵大丈夫である)悪くすると一人や二人赤化教員などを出さないとも限らない。そこで東京府学務課では率先して、主として小学校の先生達を中心とする「思想問題研究会」を組織することにした。研究委員は府市学務当局を始め警視庁・裁判所・刑務所などから思想上の権威五十名を選んだもので、その哲学上の権威に於ては並ぶべきものはない。――ついでに云っておくが司法省の皆川次官の肝煎りで出来る研究会は主に経済学の権威ある研究をするらしく、転向した有名な某氏が研究主任で積極的に研究員を勧誘していると聞いている。

文部省になると併しもっと用意周到である。文部省には学生部という特殊な存在があったが(国民精神文化研究所は確かこの管下だったと思う)それが今度思想局に昇格した。なぜ学生部が思想局に昇格したかというと、今後は学生並みに先生も取り締ろうとするからである。