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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页

青空文庫

のである。

それはこういう理由からだ。わが国の科学や技術は、官公私の研究機関を通じて、恐らく世界的水準からそんなに降っているのではないようである。而もそれは極めて切りつめられた殆んど致命的な少額の研究費で維持されている研究なのである。処が陸海軍になると研究費は桁はずれて豊富であるらしい。無論決して夫で充分だとは云えないにしても大学や他の研究所に較べたら研究は極めて自由だと見ていい。これ程自由な物質的条件にあると同時に、多分特に海軍では人的に優秀な技能を選択し蓄積していると見ていい。聞く処によると明治初年の技術家や数学者の主な者はどれも海軍軍人だったそうだ。で吾々は日本海軍の製艦技術の優秀性を仮定してもいいように思えるのである。之は日本民族の優秀性というような神話的な問題ではないのだから。

処が水雷艇「友鶴」が顛覆したのは、査問会の議論によると、操縦及び艇内の水防等に原因があるのではなくて、波浪による傾斜に対抗するだけの復原力が不足だったのに基くということが明らかになった。要するにこの新型水雷艇は、設計上根本的な弱点を持っていたというのである。

友鶴はロンドン条約の欠陥を補うための補充計画により、制限外の補助艦の一種として造られたもので、従ってそれに対する作戦上の要求に多少の無理があったろうというような想像