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しゃかいじひょう
社会時評
戸坂 潤
「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页
審議委員会で逐条審議した際最も重点を置いて議論されたのは、反軍運動即ち反軍隊的言動、もっと詳しく説明すれば、軍の不利益になり軍の秩序維持を妨げる言動、に対する罰則を※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)入する件であった。治安維持法は少くとも資本主義の何らかの否定に対する罰則を規定したものであることは云うまでもないが、この治安維持法と、この反軍取締りの軍刑法との間に、平行関係があるということは興味のないことではない。だがそれはとに角、こういう法律が整備されねばならぬからには、反軍的な言動が現に旺盛になりそうな危険がある、ということを想定しなければならないのが遺憾である。
で三度例の投書だが、あれは陸軍に向って投書したものだから無論軍の利益を慮って行われたものに違いない。だが、文章はどうにでも書き様があるのだし言葉にも色々の使い方があるのだ。同じ内容の事柄が別な言葉で別な個処で述べられないとも限らない。そして夫がもし忠告だとするならば、それが好意に出たものか悪意に出たものかは容易に見分け難いものだ。
でそう考えて見ると、何が反軍的で何が反軍的でないかは、仲々ムツかしい問題になるだろう。