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しゃかいじひょう
社会時評
戸坂 潤
「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页
第一は陸軍省の理想案であるが、それによると関東軍司令官を総督制にし、満州経営上軍事行政司法外交一切の権限を与えようとする案で、無論今まで通りの関東長官も満州国大使も要らなくなるわけだが、併し現在の関東軍司令官は統帥権にぞくするもので、全く軍事的なものの筈だから、少くとも之を平時化するように改正する必要があるわけで、もしそれさえ手続きが済めば、完全な一位一体制の在満機関が出来ようというのである。
処が之では折角の満州帝国が朝鮮並みに取り扱われることになりそうで、満州国独立の承認を世界に向って強要している手前、一寸具合が悪いではないか、と気のつく者もいたらしく、陸軍省ではこれの代案として、軍司令官と駐満大使との二位制にし、大使を特別に外務大臣から独立させて総理大臣直接の監督下に移し、内閣に対満事務局と云ったものを置き、大使をして外交と行政とを営ませようというのである。無論当分駐満大使は関東軍司令官と同一人物である予定だから、前の理想案代案としてはまず結構かも知れない。云うまでもなく関東長官は無いに等しい。そして駐満大使と云ってもただの外務省の大使などではない。