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しゃかいじひょう
社会時評
戸坂 潤
「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页
この争議の特色である。世間から見た一種の「正当さ」は、この陳情風俗に最も簡単に現われているのである。この争議は単に、国憲的なものと実は之と一つである資本主義的なものとの間の、外見上の対立を特に象徴させるために、今度のように正当化されているものに他ならない。でそう考えると、この争議の価値は、それが模範であるだけに、争議自身としては大した価値のものではないと云わなければならぬかも知れない。――だが時は凡てのことが異状を呈する非常時だ。この非常時にとに角こうしたストライキが起き得たということは決して意味の少ないことではないのである。そして、市民が従来ストライキというものに就いて持っている各種のヨタ観念を清算すべく、市民に常識上の訓練を与える点では、この争議はまず満点だと云ってもいいだろう。
二、不安時代
満州帝国駐在日本大使館領事館の高田代理検事は、瓦房店警察署長以下十三名を、密輸問題にからむ涜職の容疑で召喚しようと思って、召喚状をつきつけると、警察側は之を開封もしないでつき返してよこした。検事は重ねて之を警察に送ってやると再び警察は之を営口領事館へ返送して来た。