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しゃかいじひょう
社会時評
戸坂 潤
「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页
壮丁や在郷軍人までがクシャクシャし出しては国防上の大問題ではないか。
それだけではない、この風水害は、容易に神輿を挙げそうになかった岡田内閣に、遂々臨時議会を開くことを余儀なくさせた。政党も之でどうやら活気づくだろうが、それだけ軍部も一働きしなければならぬ秋が意外に早く来たわけだ。
こういう条件が与えられているのを眼の前にして、陸軍は陸軍新聞班の名を以て、十月一日付のパンフレット『国防の本義と其強化の提唱』を発表した。世間がこの種のことをウスウス予期しないではなかっただけに、却って鋭いショックを受けたのは尤もだろう。このパンフレットは十六万も印刷したというが(こんなに多数印刷されるパンフレットは民間ならば珍らしいことだ)、私はまだ実物を見ていないのが残念だ。だがその要点に就いては新聞が相当詳しく報道しているから、夫を信用していいだろう。
第一に、国内問題は国防の見地に立つと、農山漁村の更生の問題として現われる。現時の農山漁村の窮迫は、農村物価の不当並びに不安定・生産品配給の不備・農業経営法の欠陥と過剰労力利用の不適切・小作問題・公租公課等農村負担の過重と負債の増加・肥料の不廉・農村金融の不備(資本の都市集中)・繭絹糸価格の暴落・旱水風雪虫害等自然的災害・農村における誤れる卑農思想と中堅人物の欠亡・限度ある