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しゃかいじひょう
社会時評
戸坂 潤
「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页
耕地と人口過剰等に起因しているというのである。原因も結果も物質的地盤もイデオロギーも、国防の見地に立てば一列横隊に並ぶらしく、例えば農山漁村の窮迫は、農山漁村生活の不振に起因する、と云ったような項目を要因として挙げておけば、もっとこの横隊が完全になるかと思うが、夫はまあどうでもいいとして、かいつまんで云うと、これ等の原因の大半が都市と農村との対立に帰納せられるというのである。つまり農村の窮迫は都市の責任だというのである。読者は陸軍の全知能を傾けて帰納した結論として、この断案を尊重することが国防上必要だということを忘れてはならぬ。
だが都市と云ったって労働者街もあれば貧民窟もある。大邸宅もあれば大官衙もある。それは同じく農村と云ったって大地主もいれば農奴に等しい小作もいるのと変らない。もし万一労働者やルンペンが大地主の責任だというようなことがあったとしたら、農村は逆に都市に対して責任を取らなければならなくなるだろう。処が実際都市の人口の多数を占める労働者やルンペンやその候補者達は、云わば大地主が手ずから都会へ送ってよこしたような連中に他ならないのである。