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しゃかいじひょう
社会時評
戸坂 潤
「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页
新聞は或いは宣伝のためにこの問題に興味を有っているのかも知れないが、とにかく新聞の「東北凶作救済運動」は天下の輿論を動かし、センセーションを捲き起こすのに成功したと云わねばなるまい。特に農村の娘が酌婦・芸妓・娼妓・女工・女給・女中などとして安売りされるということが、少なからず世間の男や女の興味を惹いたらしい。子女の安売は日本では何も今日に始まったことではなく、又必ずしも農村だけに限られている現象でもないのだが、農民のただの凶作やただの貧困ではジャーナリスティクに興味がないので、世間では之を人身売買や芝居の子役の形に直して、問題に色艶をつけようと力めているらしい。
この笛に合わせて起ち上ったものは、各種の婦人団体であって、愛国婦人会やキリスト教婦人矯風会、仏教女子青年会、などの会員は一堂に会して全国的な一大運動を起こすことになった。一体婦人団体というものが社会問題に対してどんなにシニカルで、従って時として問題が女や子供のことになると如何に突然とセンチメンタルになるものかということは、私が関西風害に就いて前にも云ったことだが、ここでも亦反覆して之を証明することが出来る。