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しゃかいじひょう
社会時評
戸坂 潤
「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页
先頃迄文芸春秋社の特派員の資格でドイツに渡って通信を書いていたが、最近に帰朝した。長谷部文雄氏は最近マルクスの『資本論』其他の飜訳に専心しているそうで、文献的な研究に就いては第一人者だろうから、その点で河上博士の後継者という意味を持っている。器用で達者で裕々逼らぬ論客、即談客と見えた。私はこの間初めて会ったばかりだから、正確には判らないが。それから松岡義和氏は私の親しい友人の一人で、哲学の教授だったが、前から消費組合運動の実際に携っている。田舎の官立高等学校で我慢出来ずに京都へ飛び出して来たが、夫はつまり馘になるために来たのだった。肥満している割合に純粋で頼みになる男である。
辰巳経世氏は確か関西大学を罷めた人だったと記憶するが(或いは思い違いで失礼かも知れないが)、今は大阪で非常な元気のようで、唯物論研究会でも活動的なメンバーの一人である。その勇敢さは傍の人を却って心配させる程であるが、併しそれは傍の人の方の老婆心というものだろう。最近見た文章では大原社会問題研究所の案内記があり、それを読むと氏の気魄彷彿とするものがある。
話は全く系統を別にするが、関西のことを書いた序でに触れておきたいのは、社会学の老大家米田庄太郎氏の件である。