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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页

青空文庫

元来右翼思想運動の一つの大きな要素は取りも直さず、そういう幅の利き目にあったのだから。だが之は思想的運動として右翼活動に対する弾圧とは別ものだという点を見落してはならぬ。左翼弾圧に平行して右翼弾圧の意味で暴力団狩りをやるというような考えがあるなら、粗漏も甚しいと云わざるを得ない。

つまり今回のギャング狩りは決して、右翼弾圧というような、思想警察の外貌の下に本然的警察機能を退化させた偽似思想警察(本当の思想警察は今日左翼運動に対してしか存在しない)の仕事ではなくて、全く警察本然の警察機能にぞくするものだと私は考える。右翼運動に対する本当の本然的警察機能は別にある筈なのだが、それが今云った思想警察という洞窟に封じこめられて無力化されて了っているので、右翼団体はもはや本然的警察機能の対象以外に横たわるものとなって了っている。わずかに暴力団という、右翼団体の身代りが、この本然的警察権の槍玉にあげられたに過ぎない。之によって右翼そのものは益々警察から安全になるのだ。処で一体、本然的な警察機能が右翼団体に及び得ないものとすれば、果して一切の暴力行為に対する警察の社会的機能に於て完璧を期待し得るかどうか之が何より大切な疑問の要点なのである。