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しゃかいじひょう

社会時評

戸坂 潤

「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页

青空文庫

処が七十議会を解散した政府は、四月末の総選挙に先立って、改めて政綱を発表するという前振れの下に、国民の注目を惹きつけていたが、遂に夫の蓋が開いた。

その内容は後にするとして、同じ政府が幾月も経たない内に政綱を二度も発表するというのはどういうことだろうか。前の政綱が不充分であったがためなのか、それとも前のは間違っていたから訂正したという意味なのか、それとも今回政府が政策を変えることにしたというのであるか。だがそういう点には殆んど全く、新(?)政綱は触れていない。七大政綱でも九大政綱でもなくて、精密に八つの政綱であり、之が必要にして充分な数であるらしく思うのが正しいのかも知れないが、そうだとすると増々、前の数政綱の改廃の経緯を説明して呉れなくては困る。この調子だと今後又更に、例えば三大政綱や五大政綱が発表されないとも限らない。そうなるとこの八大政綱なるものの八の字にからまる権威はまことに怪しいものとならねばならぬ。内容を別にしても、その形態分枝自身が信用ならぬものとなろう。それとも八つということに何か神話的な意味でもあるのだろうか。大八洲とか「八マタノオロチ」