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しゃかいじひょう
社会時評
戸坂 潤
「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页
それで不安な場合には、「司法保護司」というのがいて、起訴猶予、起訴留保、執行猶予、仮釈放などの犯人を、保護し監察する。併しもし万一、こうした保姆のような道義的で涙のこもった待遇にも拘らず、改悛の状を示さないものは、たとい所定の刑期を終えても、引き続き豫防拘禁されるかも知れない。死ぬまで改悛しない者は死ぬまで豫防拘禁されるかも知れない、判ったかというのである。
転べ! 転べ! 昔キリシタン転びというのがあったそうだが、今日では「転向」という名が付いている。「改悛の状」を示すとは転向するということであるらしい。だが、何から何に転向するのか。云うまでもない、少くとも、サッキ云った、重大な方の条項から軽微な方の条項にまで、転向する必要があるのである。「革命的エネルギー」という言葉があるが、それは一種のポテンシャル・エナジーで、転向・転下によって、このエネルギーがディスチャージ(?)されるわけだ。云わばこの落差の大きい程、改悛の状が顕著なわけである。――で、今度の改正案は、この落差を出来るだけ大きくしようという改正案だ。例の二つの条項の間の位置のエネルギーの差をなるべく大きくして、改悛という道徳的エネルギーに転化しようというのである。