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しゃかいじひょう
社会時評
戸坂 潤
「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页
「可愛そうな虐待児童がいたらすぐに警察に知らせて下さい」とか「十四歳以下の子供に物売りをさせてはいけません」などというビラを配りながら、薄倖な児童の家庭を訪問させたのである。
処で新聞の社会面が報じる※(「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2-13-28)話によると、社会事業協会の幹部の一行が吾妻橋傍に佇んでいる親子ずれの門付けをつかまえて、明日から止めないと懲役になるよと注意すると、母親は急にメソメソと泣き出して了ったそうである。「この子に稼いでもらわなければ御飯が食べて行けないのです、亭主には棄てられ家には病人があり……」と云って泣き出して了ったというのである。念のために云っておくが、泣き出したのは子供の方ではなく母親の方なのである。新聞の話しでは、之を聞いた一行は、さすがにホロリとさせられたというだけで終っているのだが、それから先が問題ではないかと思う。
実の子ならばまず大抵の親は虐待などはしたくない筈だ。それを「虐待」しなければならなくするのは、云うまでもなく親子の生活のためだ。それから本当に子供を虐待するのは、所謂「親方」