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しゃかいじひょう
社会時評
戸坂 潤
「文藝春秋」1933(昭和8年)年6月~1937(昭和12)年5月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 195,408 字 · 380 页
や雛妓の抱主だろうが子供を親方や抱主に渡す親達は云うまでもなく生活の必要に迫られるからだ。親爺がのんだくれだとか何んとか云っても、相当の収入でもあればやたらにのんだくれになるものではないので、之も結局生活の不如意からだ。虐待を除いても虐待の原因を除かなければ、何等の根本政策でもあり得ない。
なる程九月三十日には、街頭で発見された虐待児童は乞食二十一名、辻占売十五名、新聞売十一名、遊芸十名、絵本売六名、コリント台売四名、花売二名、合計六十九名だったのが、この法律実施の初日である十月一日には僅かに辻占売一人と乞食三人としか広い東京市の街頭で発見されなかったと新聞が報じているから、該法律の効目には目ざましいものがあるようだが、所が、一方九月三十日迄に来たお酌の就業届出数は、例年よりも三〇〇件を増しているという、裏の事実もあるのである。
既に就業している雛妓には、何故かこの法律は適用されず、今後就業しようとするものだけに適用されるというのだから、九月三十日を名残とばかり雛妓就業届出が殺到するのは当然である。それでこれら既成雛妓の抱主達は、例の吾妻橋のルンペンお袋のように、メソメソ泣き出さなくて済んだわけである。