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かみのごとくよわし
神の如く弱し
菊池 寛
「中央公論」1920(大正9)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,929 字 · 28 页
丁度、子供が何かの悪戯をしたのを、それを監督する責任のある父兄に、告口でもするように。
「君! 河野君が此間の晩にね……」とか、
「君が、まだ知らないとは駭いたね。」と云うような冒頭で、河野があゝしたこうしたと云ったような事を、いくらか誇張したように、話して呉れた。どの話を聴いても、河野は決していゝ役廻りをして居なかった。河野が人が好くて、気の弱いのに付け込まれて、散々に利用されて居て、しかも蔭では、馬鹿にされて居ると云ったように結論せられる話ばかりであった。そして彼等はきっとおしまいに、
「君達から、少し忠告するといゝんだ。」と、親切ごかしに、付け加えて呉れるのであった。
雄吉も、細木や藤田などの極く親しい間だけでは、河野に対する非難を、いくら繰り返しても、そう不快ではなかったが、余り自分たちと、親しくない者から、彼に対する非難や侮蔑を聞くと、やっぱり不愉快であった。もっと、何うかして呉れればいゝと、思わずには居られなかった。もっと、シャンとして呉れればと、思わずには居られなかった。
河野は、生活の調子を、ダラシなくしたばかりでなく、創作の方面でも、同人雑誌をやって居た頃の向上的な理想などを、悉く振り捨ててしまって、婦人雑誌の中でも一番下品な雑誌へ、続き物を書く約束などを始めて居た。