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かみだな
神棚
豊島 与志雄
「新潮」1923(大正12)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,427 字 · 44 页
すると奴さん、澄しこんだ顔付でね、大事な商売の金なんだが、まあ月に七八分も利子を出すんなら、五十円くらい融通してやってもいい、なんかって吐しやがるのさ。馬鹿にしてるじゃねえか。……浅井の奴、ぷりぷり怒りやがって、俺にその話をしてきかせたよ。そして二人で話し合ってるうちに、どうも腑に落ちねえことばかり出てくるんだ。第一笹木が何処からそんな金を手に入れたかが疑問なんだ。彼奴が金なんか持ってたためしはなかったんだからね。なるほど仕事の腕は持ってるが、いつも酒ばかり喰ってたじゃねえか。それに彼奴が僕達を松尾の方へ引張り出した張本人だろう。それにあの時のしゃあしゃあとした態度はどうだ! 誰にだって大体の想像はつかあね。俺は浅井と一緒に手を廻して、内々調べてみたよ。すると確かに、彼奴は松尾と共謀だったらしいんだ。」
不思議にも、俺はそういう話を聞きながら、前に一度自分でも笹木の共謀を想像したことがあったような気がした。或はまた、自分の知ってることを、池部から改めて聞かされてるような気がした。そして俺は別段驚かなかった。一体この事件くらい馬鹿げたものはなかった。