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かみだな

神棚

豊島 与志雄

「新潮」1923(大正12)年6月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,427 字 · 44 页

青空文庫

お久は金を捲き上げることに最も賛成だったし、池部はひっ叩くことに最も気が向いていたし、俺は立派な印刷所を育て上げることに最も望みをかけた。然し三つの解決なら、結局どっちになっても面白そうだった。ただ、こんなことは正月まで持ち越したくないから、三十日の午後にしたいと池部は主張した。俺は賛成だった。それではこれからまだ廻ってみよう、池部は慌しく立上った。十五人ばかりのうち十人くらいは大丈夫集る、と自信ありげに云い捨てて帰っていった。

所が、池部が居なくなると、俺は何だか力抜けがしたような気持を覚えた。痩せてはいるが変に骨の堅そうな彼の身体つきが、どうしてそれほど俺に影響してくるのか、さっぱり合点がいかなかった。話が余り突然で心になずまないせいもあったろうが、それにしても、彼一人がその話を背負って歩いてるわけでもあるまいし、張りのない自分の心が不思議だった。

「ほんとに酷い奴だね。」とお久はまだ興奮を失わないで云っていた。「あんな奴は、引っ叩くくらいじゃ屁とも思やしないから、金をそっくりふんだくってやるがいいよ。」

俺は苦笑した。

「そうもいかねえさ。……お前だって何だろう。