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かみだな
神棚
豊島 与志雄
「新潮」1923(大正12)年6月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,427 字 · 44 页
「何をしてるんだ!」と俺は怒鳴った。
彼女はふふんと鼻であしらうような調子で、上唇を脹らませる薄ら笑いを浮べた。俺はつっ立ったまま、彼女をじっと見据えた。足で蹴りつけてやろうか……両腕で抱きしめてやろうか……がどちらもぴったり心にこないので、忌々しさの余りつかつかと歩み寄って、神棚の灯明を吹き消してやった。
「何をするんだよ、罰当り!」
そう彼女は叫んで、俺の足へ武者振りついてきた。それを咄嗟に俺は避けて、火鉢の側に退却して腰を下した。
「いつまでもそんなことをしてねえで、早く寝っちまえよ。」
「お前さんこそ寝ておしまいよ。……私夜通しでも起きててやるから。……死んだお母さんの気持が、私にはようく分ってる。お前さんなんかに分るもんかね。ほんとに罰当りだ。だから年も越せないじゃないか。」
「越せるか越せないか、まだきまってやしねえよ。」
「きまってるともさ。子供は襤褸のままだし、松も〆飾りも出来ないで、よく年が越せると云えたもんだね。餅一つ買えないじゃないか。お米を買う金だってもうありゃあしない。私達を飢え死にさせるつもりなら、それでいいよ!」
「米の代も……。