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まつりのよる

祭りの夜

豊島 与志雄

「日本小説」1948(昭和23)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,781 字 · 20 页

青空文庫

」

「まあ半吉というところでしょうね。」

彼女は立ち上って、電燈をつけ、勝手元から台布巾を持って来た。――その立姿は、あまり立派でなかった。背が低い、というよりは足が短いので、腰から上と下との均合がとれていない感じなのだ。芸者でお座敷着の裾でも引いておれば、それもごまかせるだろうが、どういうものか、彼女はいつも裾短かに着物をつけていて、臀から下が寸のつまったずん胴をなしている。それが私には嫌だった。私にあんなに親切にしてくれる、姉か、叔母なら、すらりとした背恰好であることが望ましいである。

それでも、私は彼女とそう長い識り合いではない。

終戦後、北京から帰国してきた私は、孤独な自分を見出した。心頼りにしていた姉一家は、戦災に全滅したようだし、他には力になってくれる身内もなく、自分は引揚者の例として、僅かな荷物以外に何の財産もなかった。一時は途方にくれたが、丁度この町に、やはり北京からの引揚者の沖本がいて、数人の仲間を集め、ささやかな建築社を拵えていたので、そこを訪れてみると、よく来てくれたというわけで、否応なく仲間に入れられてしまった。次には住宅に困った。