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がくもんのどくりつ

福沢諭吉教育論集

福沢 諭吉

福沢諭吉『福沢諭吉教育論集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:学問の独立、経世の学、また講究すべし、物理学の要用、教育の目的、中津留別の書、徳育如何、学者安心論、学校の説、慶応義塾新議、慶応義塾の記、中元祝酒の記、京都学校の記、慶応義塾学生諸氏に告ぐ、成学即身実業の説、学生諸氏に告ぐ、政事と教育と分離すべし、読倫理教科書、小学教育の事、文明教育論。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 97,278 字 · 197 页

青空文庫

くらいの時勢にして、はなはだ楽しからず。あるいはこれによりて身に利することあるやというに、これまた思いも寄らず。すでに誉れなく、また利益なし、何のために辛苦勤学したるやと尋ねらるれば、ただ今にても返答に困る次第なれども、一歩を進めて考うれば説なきにあらず。

すなわち余は日本の士族の子にして、士族一般先天遺伝の教育に浴し、一種の気風を具えたるは疑もなき事実にして、その気風とはただ出来難き事を好んでこれを勤むるの心、これなり。当時横文読むの業はきわめてむつかしきことにして、容易に出来難き学問なりしがゆえに、これを勤めたることならん。あるいは洋学ならで、ほかに何か困難なる事業もありて、偶然に思いつきたらば、その方に身を委ねたるやも知るべからず。

ひっきょう余が洋学は一時の偶然に出でて、その修業の辛苦なりしがゆえに、これに入りたるものなりと、自から信ずるの外あるべからず。すでにこの学に志してようやくこれを勤むる間には、ようやく真理原則の佳境に入り、苦学すなわち精神を楽しましむるの具となりて、いかにしてもこの楽境を脱すべからず。かえりみて我が身の出処たる古学社会を見れば、その愚鈍暗黒なる、ともに語るに足るべき者なく、ひそかにこれを目下に見下して愍笑するのみ。