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わたくしたちのけんせつ
私たちの建設
宮本 百合子
「私たちの建設」実業之日本社、1946(昭和21)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 54,430 字 · 107 页
封建日本の知識人たちは一部の勇敢な人たちだけが、徳川の禁止に脅かされつつオランダ貿易を通じてチラリ、チラリと覗われるようになった近代欧州の知識に関心をよせ、そのためには生命を失いさえしなければならなかった。国内の社会事情の矛盾から、文学上には、一種の無常観、俳句において代表されている「さび」の感覚などのうちに退嬰し、徳川末期に到っては身分制に属しながら実力はそれを凌駕している町人階級の文学としてそこでだけは武士の力がものをいわぬ遊里、花柳界遊蕩の文学が発生したのであった。この種の文学の世界では近松の作品にあっては人間性の悲劇の女主人公として見られた女性も、当然あそびの対手としてしか、美も情感も認められ得なかったのであった。
明治開化の明暗
明治は、日本が新しい誕生を以て近代世界の中に歩み出そうとする激しい希望を以て始められた。明治の初期における社会の革新的な動き方は、日本の歴史に未曾有のものであった。当時の進歩的な人々が、腐れ果てた封建の殼から脱け出して、新しい日本人として発展しようとした欲望には、真実が籠っていた。例えば今日常に保守的或は反動的な役割を持っている文部省でさえも創設されたばかりには、本当に日本の人民の間に文字を普及させ、常識を広め、輿論の担い手となり得る人民の文化を導き出そ