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あきのしゅぜんじ
秋の修善寺
岡本 綺堂
在线阅读岡本 綺堂《秋の修善寺(あきのしゅぜんじ)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 5,167 字 · 11 页
すさまじいありさまだとは思ったが、これに較べると、範頼の墓は更に甚だしく荒れまさっている。叔父御よりも甥の殿の方がまだしもの果報があると思いながら、香を手向けて去ろうとすると、入違いに来て磬を打つ参詣者があった。
帰り路で、ある店に立ってゆで栗を買うと実に廉い。わたしばかりでなく、東京の客はみな驚くだろうと思われた。宿に帰って読書、障子の紙が二ヵ所ばかり裂けている。眼に立つほどの破れではないが、それにささやく風の音がややもすれば耳について、秋は寂しいものだとしみじみ思わせるうちに、宿の男が来て貼りかえてくれた。向座敷は障子をあけ放して、その縁側に若い女客が長い洗い髪を日に乾かしているのが、榎の大樹を隔ててみえた。
午後は読書に倦んで肱枕を極めているところへ宿の主人が来た。主人は善く語るので、おかげで退屈を忘れた。きょうも水の音に暮れてしまったので、電灯の下で夕飯をすませて、散歩がてら理髪店へゆく。大仁理髪組合の掲示をみると、理髪料十二銭、またその傍に附記して「ただし角刈とハイカラは二銭増しの事」とある。いわゆるハイカラなるものは、どこへ廻っても余計に金の要ることと察せられた。