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あきふかき
秋深き
織田 作之助
「大阪文学」1942(昭和17)年1月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,176 字 · 27 页
どないだ(す)? 聴きはれしめへんか。隠さんと言っとくなはれ」
ねちねちとからんで来た。
私は黙っていた。しかし、男は私の顔を覗きこんで、ひとりうなずいた。
「黙ったはるとこ見ると、やっぱり聴きはったんやな。――なんぞ僕のわるいことを聴きはったんやろ。しかし、言うときまっけどね。彼女の言うことを信用したらあきまへんぜ。あの女子は嘘つきですよってな。わてはだまされた、わては不幸な女子や、とこないひとに言いふらすのが彼女の癖でんねん。それが彼女の手エでんねん。そない言うてからに、うまいこと相手の同情ひきよりまんねんぜ。ほら昨夜従兄弟がどないやとか、こないやとか言うとりましたやろ、あれもやっぱり手エだんねん。なにが彼女に従兄弟みたいなもんおますかいな。ほんまにあんた、警戒せなあきまへんぜ」
警戒とは大袈裟な言い方だと、私はいささかあきれた。
「ところで、彼女は僕のこと如何言うとりました? 悪い男や言うとりましたやろ? 焼餅やきや言うてしまへんでしたか。どうせそんなことでっしゃろ。なにが、僕が焼餅やきますかいな。彼女の方が余っ程焼餅やきでっせ。一緒に道歩いてても、僕に女子の顔見たらいかん、こない言いよりまんねん。