轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しゅうふうふき
秋風不帰
山本 周五郎
「講談雑誌」博文館、1939(昭和14)年11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,593 字 · 28 页
「誰です、それは何者です」
「二の太刀は井上銀之丞さま」
「初太刀は、第一は誰です」
「七沢吉郎兵衛さまでございます」
夏雄はふしぎにも、それが当然であるような気さえした。町子がここへ追って来たというだけで、彼の心には驚きに備える気持が出来ていたのである。
「それは、慥かなことでしょうね」
「はい、そのために……」
町子は罰を受ける者の如く雨のなかで額を垂れた。
「そのために、町は欣弥の許へ嫁いだのでございます。そうするより他にはお父上さま御最期の仔細を知る法はございませんでした」
「では、……では貴女は」
「町は夏雄さまの妻でございました。欣弥の許へは死んで参ったのでございます」
そういうと共に蓑の下で、彼女の手が烈しく動き、ぐいと体が前跼みになった。
「あ、なにを!」
夏雄は仰天してとびついた。
その隙に、下郎がぱっとはね起きた。夏雄は抜き打ちにその背へ一刀!
「あうッ……」
二つに裂けた蓑と共に、下郎の体はだっと飛沫をあげながら顛倒する、……夏雄はそれより早く、町子の体を抱き止めた。しかし彼女の両手は、柄元まで刺し通した懐剣をかたく胸の上で握って放さなかった。