轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
しゅうふうき
秋風記
在线阅读太宰 治《秋風記(しゅうふうき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 8,011 字 · 17 页
「まんなかのが。」Kは、山々の面を拭いてあるいている霧の流れを眺めながら、ゆっくり呟く。
ふりむいて、みると、いつのまにか、いまひとりの青年が、サロンのまんなかに立っていて、ふところ手のまま、入口の右隅にある菊の生花を見つめている。
「菊は、むずかしいからねえ。」Kは、生花の、なんとか流の、いい地位にいた。
「ああ、古い、古い。あいつの横顔、晶助兄さんにそっくりじゃないか。ハムレット。」その兄は、二十七で死んだ。彫刻をよくしていた。
「だって、私は男のひと、他にそんなに知らないのだもの。」Kは、恥ずかしそうにしていた。
号外。
女中は、みなに一枚一枚くばって歩いた。――事変以来八十九日目。上海包囲全く成る。敵軍潰乱全線に総退却。
Kは号外をちらと見て、
「あなたは?」
「丙種。」
「私は甲種なのね。」Kは、びっくりする程、大きい声で、笑い出した。「私は、山を見ていたのじゃなくってよ。ほら、この、眼のまえの雨だれの形を見ていたの。みんな、それぞれ個性があるのよ。もったいぶって、ぽたんと落ちるのもあるし、せっかちに、痩せたまま落ちるのもあるし、気取って、ぴちゃんと高い音たてて落ちるのもあるし、つまらなそうに、ふわっと風まかせに落ちるのもあるし、――」