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かがくとかがくのかんねん

科学と科学の観念

戸坂 潤

「経済情報・政経篇」1941(昭和16)年6月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,542 字 · 10 页

青空文庫

もし科学は政治などと違って、そういう素人観念にぞくしてはならぬもので、専ら専門観念のものだとすれば、今まで説いてきた常識(素人の良識)というものは、科学という観念について何の発言権もないことになる。またもしその反対ならば、仮に科学の一つ一つの旧い又新しい知識やプログラムについては別としても、科学とは何かという科学の観念は、常識からの発言権に俟つ処が、多大でなくてはならぬことになる。

処で、現下に於て、科学が要求され尊重され愛好され、云々、しているのは全く一つの社会的要求からである。科学の偉力を示すものは科学自身でしかあり得ないが、科学の必要を説くのは決して科学自身ばかりではないのだ。社会が科学の必要を説くのである。科学自身をして科学自身の必要を説かしめるものも亦実は主として、社会なのである。之は正に、政治的な観念として、今日提出されているのだ。科学という観念が(科学内容の夫々ではない)政治的な観念となる、またなっている、ということには、語弊もあり又事実上の弊害をも伴うかも知れないが、併し何と云っても之は科学そのものを発達させる社会的な動力になることは明らかなのだし、科学とは何か、という科学そのものの観念の本来の所在を突き止めさせるという必要は好い性質をも持っている。