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かがくのじょうしきのため
科学の常識のため
宮本 百合子
「新女苑」1940(昭和15)年8月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,479 字 · 19 页
そして、ある年月の後、今日の若い父親たちよりはいささかその常識の内容をひろやかに多様なものとしたより若い母たちが、自分たちの可愛い小さい娘や息子へのおくりものとして、これらのリストの改良された見出しの中から書籍を選ぶ時があるとしたら、愉しい現実的な期待といわなければならない。
アインシュタインは、世界に卓越した現世紀の大科学者の一人であり、慰みに弾くヴァイオリンは聴く人の心を魅するそうだが、何年か前書いた感想の中に、忘られない文句があった。この科学者は「私は婦人が高度な知能活動に適するとは思わない」という意味の言葉を書いているのであった。女である私たちは、大科学者のこの言葉によって一度は確にしょげるのだけれど、やがてこころひそかな勇気を自分たちの内に感じると思う。何故なら、すべての近世科学の歴史は、たとえばガリレイが十七世紀の地動説をとなえたとき、宗教裁判で罰せられ生命さえ脅かされた事実をつげている。
しかし、地球は動いているものであったから、その事実はガリレイの死後にやがては承認されることとなった。女も人類のために貢献するために生きたいという希望、そのために知能をもゆたかにしたいという希望を抱いて努力している事実は、いわば地球の動きのようなもので、いつかはそれが承認され具現する可能に向って、今日の文化