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かがくひはんのかだい
科学批判の課題
三木 清
「新興科学の旗のもとに」新興科学社、1928(昭和3)年10月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,229 字 · 40 页
基礎経験はその特殊性に応じて自己を存在のモデルにおいて抽象せしめる**。かく存在のモデルとしておのおのの時代において新たに把握された存在の領域は、それ自身モデルの意味において、まさに存在論的に過重されるところの必然性をもっている。新たに把握された存在の領域は規則的にまず現実存在、さらには価値存在の絶対圏へ引き入れられ、その対象はつねに一切の世界変化の独立変数として妥当する。この選ばれた領域の構造は他の存在の領域へ導き込まれ、かくして全体の世界、あるいは少なくともその大部分はこのモデルに従って解明されることとなる。ところでかくのごとき過程に相応してあたかも次のことがある。存在のモデルとして必然的に抽出された領域に関する意識すなわちイデオロギーは、その優越なる存在論的性質の故に、いわば「形而上学的なる」妥当性を獲得すると同時に、他方ではもろもろのイデオロギーの連関においてつねに基礎層の位置を占めるに到るのである。しかるに基礎経験の構造はおのおのの歴史的時代においてそれぞれ特殊的であり、そして存在のモデルもまたそうであるから、したがってイデオロギー諸形態の成層構造の土台となるものもまた時代に応じて相異ならざるを得ない。